こんにちは。KLab Venturesの長野です。
近々自分のblogをオープンしようと思ってなかなか準備できていないのでKLab Venturesのblogでも日々の活動の中で気づいた点や考えていることなどを書いていこうと思います。私自身大昔はジャーナリスト志望だったのでこういう文章書くのは大好きだったりします。
今回書こうと思ったコラムはこんなネタです。
あなたのビジネスは「リプレイス型ビジネス」か「イノベーション型ビジネス」か?
ベンチャーキャピタリストとして毎日様々なスタートアップの方々とビジネスアイデアについて話をしているとビジネスのアプローチとして大まかに2つの思考方法があると感じることがあります。「リプレイス型ビジネス」と「イノベーション型ビジネス」です。
「リプレイス型ビジネス」とは、既に市場が存在していて一定ビジネスとして成り立っている領域に対して”スマホ”や”ソーシャル”など新しいツールを用いてそのビジネスの一部を置き換えていくビジネスのことです。
インターネットが誕生してから存在していたマッチングサイトをFacebookログイン前提のサービスにすることにより信頼性を担保し、急拡大したbadoo, zoosk, omiai,pairsなど新しいマッチングアプリ。スマートフォンのアプリと連動してクレジットカード決済手段を提供するSquareやCoineyなどもスマホに置き換えたという観点でリプレイス型ビジネスの領域に入るんではないかと思います。
このリプレイス型ビジネスの特徴としては、
・ロジカルにビジネスを設計しやすい
・市場規模が見えやすい、事業計画が立てやすい
・そのため競合が多い
上記の点などが挙げられます。
そのため事業をはじめる上では競合との差別化戦略、フォウンダーのビジネス経験などがVCから資金調達する上でポイントとなることが多いです。
また、リプレイス元となった既存大手プレイヤーが、新規プレイヤーの成功体験を調査し新規領域に参入してくるのか?もしくはイノベーションのジレンマなどにより参入可能性が低いのか?などもリプレイス型ビジネスでは重要項目となりまし、出資検討する上では必ず調査します。
一方、「イノベーション型ビジネス」は市場が既に存在しているわけではなく、まったく新しい市場を0から創出するビジネスのことです。
実名制のソーシャルネットワークという新市場を創出したfacebook、140文字という制限があることによりストリーム型の情報伝播を生み出したtwitter、アバター課金がビジネスになることを証明した初期のモバゲータウンなどがこの「イノベーション型ビジネス」と言えると思います。
イノベーション型ビジネスの難易度
このタイプのビジネスは世の中にサービス提供するまでの難易度が非常に高いと思います。その理由としては以下のことが挙げられます。
〈サービスリリースまで〉
・そもそもそのビジネス自体が成立するかの検証をしなければならない
・その検証結果をVCやステークホルダーに説得しなければならないが、ロジカルに説明しづらい
・参考となるビジネスがないためサービス設計など全てが0から創りあげなければならない(カンニングができない)
・ほとんどの人は理解してくれないので奇人扱いされ精神的に辛い
〈サービスリリース後〉
・新たなユーザー体験を提供することになるがアーリーアダプターな一部のユーザーは別にして一般的なマジョリティは往々にして新しいものには拒否反応を示す
・そのため初期のビジネス拡大に苦労することが多く、ファイナンスの戦略を緻密に立てる必要がある
・苦労して成功した場合に先行者のアドバンテージはもちろんあるが、資金体力のある他社が物量作戦で自社の競合サービスを圧倒してくる可能性がある
上記に挙げたようにイノベーション型ビジネスはサービスリリース前、サービスリリース後の両フェーズにおいても新規であるがゆえの苦労が存在します。この苦労をしている人を過去に何度も見てきました。ただその苦労の末もし自社のサービスが成功し、その市場を自社で寡占することが可能となれば、享受するメリットは計り知れないなどハイリスクハイリターンなビジネスアプローチといえます。
この新市場創出型ビジネスではリプレイスビジネスとは違ってロジカルにビジネスの可能性を説得することが困難なケースが多い。そのためVCや会社の新規事業において説得する上では、本人の熱意や成功した時のビジネススケール、チームの優秀さなどがポイントになることが多いです。
リーンスタートアップでよく言われることですがMVP(Most Valuable Product)をクローズドβテストしてみてユーザー反応をレポートすることで成功のイメージを関係者に共有することも重要なメソッドの1つだと思います。
現在ビジネスアイデアを模索している方へ
これまでに見てきたように「リプレイス型ビジネス」と「イノベーション型ビジネス」ではサービス開発以外にも様々な点において相違点があります。イントレプレナーとして社内の新規事業でビジネスを企画していて上司を説得しなければならない立場の方や、起業してビジネスを展開する上でVCからの資金調達を予定している方は、自分の考えているビジネスがどちらのカテゴリーといえるのか、という視点からも考えてみてもよいかもしれません。
実際にスタートアップの方との議論で出てくる事業プランのほとんどがリプレイス型ビジネスです。これは上記で取り上げた難易度の点が多く関係することが想像されます。
まだまだ検証途中のコラムで恐縮ですがご意見などあればフィードバックお待ちしております。
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