KLabVentures大野です。
前回は、モノ作りビジネスについて書かせて頂きました。
今回はVol.2を書かせてもらいます。

・iMaterialise http://i.materialise.com/

など、各国で様々な"メイカーズ・スタートアップ"が出てきている中、”メイカーズ”の中心にいるプレイヤーには面白い出来事がここ最近凄く増えてきました。
今年の4月、今や勢いが止まらないShapewaysがシリーズCの投資ラウンドで調達に成功した事はこのムーブメントにより火を付けたと事は自明です。
 
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*Shapeways、弾性素材を開発
*Makerbot、ストラタシス社に約400億円で買収
*そして日本では、スタートアップと大手の参入が!
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makerbot-replicator 

プラットフォームを事業主体にしつつ、素材や原料の開発に領域を広げて行ったり、大手3Dプリンターメーカーがエンド向けの3Dプリンターメーカーを買収したりと、競争が激化しているのは自明ですし、メイカーズ、所謂”モノ作り”系スタートアップや投資家向けのイベントも増え、いよいよ場が盛り上がっている気がします。

今回は、私自身一度"メイカーズ・スタートアップ"を志した身であり、実際に事業立ち上げを経験した上で、これまでに経験してきた製造、EC、マーケティング、CGMなどのノウハウや視点を踏まえた上で、今度は逆の立場、つまり"メイカーズ・スタートアップ"に対しての投資の観点を複合的に捉まえた上で、書かせて頂きます。

①MD戦略の大切さ(モノ)

今世の中に出ているメイカーズスタートアップのほとんどが、その名の通り、WEB上ないしはデータ入稿により、3Dプリンターで出力し、その「データ」ないしは「アウトプット」を販売するプラットフォームの形式でコマース展開している所が多く見受けられます。その点から見ると、通常のe-commerceに近い感じがします。
しかし、「アウトプット」を比較してみた場合、既製品・レディメイドと比べ、現在のプリンタの精度や素材等を含めてみると、実用性、装飾性など色々な観点で劣ってしまう場合があります。

そういった意味でも、その企業が打ち出している「路線」や「MD」、
「クオリティ」、「クリエイティビティ」などの観点はとても重要な判断材料になると思います。

②≠WEBサービス?(カネ)

やってみて思う事は、とにかくランディングするまでに時間が掛かります。その点では、まず最初に「カネ」、原価の話が出てきます。データの売買のみであればまだましで、「モノ」を販売するという事は「原材料」がかかります。そしてとにかくこの原料が高いです。日本は特に高かった気がします。
その上、各種プリンターによって拡張子が違う、補正が必要、形によっては別素材が必要、などパーソナルに特化する上で新たな障壁が立ちはだかってきます。

その為、うまい配置、体制作り、BisDev、、等をする事が、一種、成功のカギと言えます。なので、大手の資本で全てが勝てる、という事でもなさそうです。

③モノ作り目線でのコト作り(コト)

次に「コト」。
UI/UXの観点でもちろんですが、キャズムを超えて、色々な人が文字通りこういったサービスを使うに至るまでに、ユーザビリティ面での整備や変換ツールの拡充、ファブコモンズなど、多面的な角度から計画して行きつつも、「マーケティング」や「プロモーション」に長けている事は一種有利かとも思います。
 
現段階では比較的新しい領域で、かつ「なんでも作れる」や「革新的な商品」というのは往々にして、「ちゃんと伝える(コミュニケーション)」事の必要性と表裏一体だと、経験からも特にこの領域は意外に必要な事だと思います。

④市場とユーザー(ヒト)

最後に「ヒト」の話をすると、3D CADデザイナー、クリエイターを抱えている事でしょうか。
まだ、レーザーカッターやソーイング、プリンティングだけであれば2Dのみでも可能ですが、3Dプリンターを使用するに当たってはその技術的な障壁は現状、少し高い気がします。メイカーズに興味をもっている人は沢山いると思いますが、その中でその「データ」を作れる人は日本だけを見るとそう多くありません。
市場も、この領域のクリエイターとユーザーが今後増えて行く事で新しく出来上がると思います。
海外では、CADを小学生の段階から「感覚的」に使える様にと、教育の一環としても注目を浴びています。



今回、メイカーズスタートアップの文脈で「モノ」、「カネ」、「コト」、「ヒト」の軸で展開させて頂きました。
特にメイカーズに限った事ではなく、全ての事業においても必要な事も含まれていますが、特にメイカーズはこの要素が全て密に絡まっていて、そして「旧態依然」とした印象も受けます。
 
そういった意味では、このどこかに特化して強みがある企業が、イッテン突破で攻めて行く事も一つの戦略ですが、個人的にはこの全てに「相対的に平均点以上を取れる企業」が投資対象としては面白いかな、と思っています。
 
「カネ」の部分を見ると製造コストがかかる分CF上大きな影響が生まれますし、
「ヒト」に関しては新しい領域で市場を作り上げる為のヴィジョンと、体制作り、
「コト」に関しては煩雑なフローになりがちな為、ユーザビリティーの観点が必要で、
「モノ」に関しては、本当に作ってみたい、買ってみたいものを今の制約の中で作り上げる、ディレクションできる事がキモだと思います。

以上、メイカーズムーブメントに関しては、個人的に取分け興味があったので、2回に分けて書かせて頂きました。
次は、アジアのスタートアップなどのタイトルで書かせて頂きます。