KLab Ventures代表ブログ『鴻鵠之志』より転載)

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 少し前に話題になっていた「海賊とよばれた男」を読了しました。
_SS400_

本作品は出光興産の創始者である出光佐三の自伝的小説であり、戦前から戦後の激動の時代の中で一代にして巨大企業を作り上げた、半端ない生き方を綴ったものです。

2013年読書の中でベスト3に入るくらい良書でした。
読書で泣いたのは久しぶり!

満州での躍進、GHQとの対峙、日章丸事件、セブンシスターズとの暗闘、などなど見どころの多い本書の中でも現在に通ずるエピソードが満載でした。
※以下ネタバレ注意!

■就職エピソード
出光佐三は神戸高等商業(現:神戸大学)を卒業した、学歴的にはいわゆるエリート学生で、周りの友人は大手企業に就職するのが当たり前だった。
しかし、独立を考えていた出光佐三は学友から「お前は学校の面汚しだ!」と罵倒されながらも社員数名の個人商店に丁稚のような形で入社した。自ら会社を立ち上げるのに必要なビジネスのノウハウを数年で吸収したいと思ったからだ。そして、25歳で出光商会を立ち上げる。

現在でも就職活動をしている学生にとって「大企業VSベンチャー」のテーマというのは重要なものですが、明治の時代から続いている不変なテーマだったんですね^^;

■出資経緯
独立にあたっての出資経緯もすごいです。赤の他人から6千円(現在価値で約1億円)を「この金は貸すのではなく、もらってくれ」と言われ資金提供を受けたといもの!しかも、「返済不要、利子も不要、事業報告も不要」という条件で!
さらに、資金提供受けるにあたっての求められたことは、

  1. 従業員と家族と思い、仲良く仕事してほしい。
  2. 自分の主義主張を最後まで貫いてほしい。
  3. 私がカネを出したことを人に言うな。
という摩訶不思議な条件だった。
出光佐三を心底信頼しているからこそできることだった。

出光佐三とこの資金提供者である日田重太郎との縁は、日田重太郎の息子の家庭教師をしていたというのが始まりである。
一切妥協せずに怠け者の息子を叱責しながら教育する姿を見て、信頼できる青年だと思ったのがきっかけになったということ。その家庭教師がきっかけで事業資金の提供に至るんだから人生何があるかわからないです。

ただ、実際にベンチャー投資の世界にいると同じような話はよくある話です。
偶然の出会いからビジネスや投資に至るということは、古今東西変わらない話だなと思わされるエピソードでした。


 
先月には石川島播磨工業、東芝の社長を歴任した戦後を代表する経営者である土光さんの
清貧と貧困 土光敏夫の100の言葉」も読んだばかりでした。
DeNA難波さんやサイバーエージェント藤田さんなど、経営者本が最近人気となっていて私も読んでとても素晴らしいなと思っているのですが、昭和の経営者はまたひと味違った胆力があります。
戦争で日本が廃墟になった中で、なんとしてでも復興しなければならないという使命感を持ってビジネスを切り開いていった生き様は身の引き締まる思いです。

出光佐三が戦後2日後に社員を集めて、
「愚痴をやめよ。世界無比の三千年の歴史を見直せ。そして今から建設にかかれ。泣き言をやめ、日本の偉大なる国民性を信じ、再建の道を進もうではないか!」と語ったエピソードなどほんと感動しました。
現在の若手起業家やビジネスマンがここまで日本を背負ってするべし!なんてことはさすがに思っていませんが、人間が何か事を成すにはこういった胆力が必要なのではないかと改めて痛感しました。

まとめ

スピード早すぎていろんな情報がありふれるビジネスの世界においても、過去の偉大な経営者から温故知新ありまくり!